こうちミュージアムネットワーク研修会
ボイストレーニング グループレッスン
日時  平成20年4月12日(土)13:00〜16:00
場所  自由民権記念館 会議室
講師  金澤 博 氏

平成20年度はじめの研修会では、「発声の会」代表の金澤博氏をお招きし、「ボイストレーニング グループレッスン」を体験しました。


【前半:講義】
 前半は、金澤氏のこれまでの歩みと、発声における腹式呼吸(横隔膜呼吸)の有用性についてのお話。

小学生の頃、「あなたはいい声を持っているから、歌をやってみては?」と、先生に褒められたことがきっかけとなり、もともと好きだった音楽の道を志した金澤氏。お話を聴いて、子どもの頃の「出会い」の重要性を、改めて実感しました。
その後、国立音楽大学で学んだ、日本における「伝統的な」呼吸法による発声。それに違和感と疑問を抱き、ミュージカルを自己の表現の場として選ばれました。当時、ミュージカルは軽く見られており、専門の講師すら存在しなかったということで、大変な苦労があったそうです。しかし、強い信念でもって果敢に挑戦し、在学中にデビューを果たされました。
様々な苦労と試行錯誤の末、独自に開発されたレッスン法。そして、人間の骨格にはじまる理論的なお話。金澤氏の明朗なお人柄もあいまって、楽しくわかりやすく学ぶことができました。

【後半:実践】
 後半は、講義で学んだことを踏まえて、実際に身体を動かしてのレッスンを受けました。

 わかりやすく相手に届く声、響く声を出すためには、その身体作りが大切とのこと。まずは、身体のゆがみを指摘され、姿勢矯正の必要性を痛感しました。その後、みんなで柔軟体操を行い、なんとマッサージの仕方まで学びました。継続こそ力なりで、続けることが重要。発声のためだけではなく、肩こりも解消されて身体の調子も良くなるので、一石二鳥です。

 身体があたたまった後は、円になり「見えない玉」を使ってのゲーム。お互いに遠慮をしながらのスタートで、スムーズにチャッチできない場面もありましたが、身体だけでなく心までほぐれて、楽しみながら進めることができました。
最後は、金澤氏のピアノ伴奏により、みんなで歌いました。学んだとおり、歌うときの息は鼻から吸うのではなく、口から吸い込み口から吐き出す。息継ぎの音がしないように、無意識のことを意識しながら行う。そして、何よりも大切なのは「笑顔」。
何度も何度もそのように指摘されながら、はじめ恥ずかしくしていた参加者も、笑顔で歌い終えました。


 今回は、発声について、理論的にも実践的にも学ぶことができました。この研修会後、解説員の声がよく通るようになったとの報告も受けています。良い声につながるという、笑顔、姿勢は、接客の基本でもあります。今後も、無意識なことを「意識」することで、よりよい対応を心がけたいと思います。




参考)金澤 博 氏プロフィール(HP:http://kanakin.com/prof/prof.html より)

国立音楽大学声楽科在学中に、藤田まこと主演ブロードウェイミュージカル「その男ゾルバ!」デスポ役でデビュー。東京・大阪・名古屋の150ステージに出演し、アンサンブル歌唱指導も務めた

主な出演作に、児演協合同公演鵜山仁演出ミュージカル「ザ・ヒーローズ三部作」。安達祐実主演「新オズの魔法つかい」カカシメンテ&スノーマン役、宮本亜門演出「キャンディード」水夫役、グレン・ウォルフォード演出「グランドホテル」ローナ役。

2006年、USJ開園5周年記念公演として開幕したブロードウェイミュージカル「WiCKED」では、オリジナルキャストとしてオズの大魔法使いWizard役で出演。世界最年少、東洋人としても初めてWizard役を演じ、作曲家S・シュワルツ氏から絶賛された。6ヶ月間約300ステージに出演。

現在、より良い発声での表現を目指す「発声の会」主宰。全国でのグループレッスンも行っている。読売日本文化センターミュージカルクラス担当講師。